内容
本書は、複素関数論をなるべくわかりやすく解説することを目的とした「入門書」である。
執筆においては、「”入門書”としての性質を意識し、解説は可能な限り平易となるようにすること」、「応用的な定理などの紹介よりも、”基本事項”の解説に徹すること」、「例題を多く提示し、計算過程もなるべく略さず説明すること」の3点を常に念頭に置き、複素数の導入から、正則関数の諸理論を経て、留数定理による積分計算の求め方まで、終始懇切丁寧な解説を心掛けた。
複素関数は、純粋数学のみならず電気回路の設計のような実用面においても非常に豊かな広がりをもつ。本書で取り上げた「基本事項」を深く理解すれば、今後、複素関数に関するあらゆる応用例に出会ったとしても、戸惑うことなく対応できるだけの基礎力が身に着けられているはずである。