内容
オジギソウやムジナモが昆虫などの接触を感じてかなりの速度で運動することは当時からよく知られていた。Haberlandt はそこに生理的解剖学を導入した.
本書では、植物のどこで昆虫の接触や植物自身が動くことにより支持物体に接触したことを受容するのか,また,そのような機械刺激が受容される仕組みを,単に植物を観察するだけでなく,針や毛を使って感受細胞を探し,顕微鏡切片を作って解明しようとしている.さまざまな植物の運動器官に加え,カメムシやヒザラガイなど動物の接触刺激の感受器官との対比や系統発生から見た感受器官の進化など,非常に広範な内容を含んでいる.
2021 年ノーベル医学・生理学賞は「感覚センサー分子の発見」をしたArdem Patapoutian とDavid Julius の両氏に送られた.まさにHaberlandt が100 年以上前に想定した機械刺激の受容体が姿を現そうとしている.