異端の試み

●はじめに

「異端の試み」というタイトルのもとにはじまるこのコラムは、日本経済史・経営史の古典的な研究の研究史上での意義を明らかにするために綴られるものです。

もともと、武田が東京大学大学院経済学研究科で行った講義を基礎に、その速記録として個人のHPに掲載されていたものです。その最初の講義は1996年に行われましたが、その時には、研究史の整理を意図した小さな本の企画を前提にして、そこで取り上げようと考えていた書物を中心に計画されていました。その後、類似の講義が何度か行われてカバーする研究の範囲もかなり広くなっていますが、そのうちの主要なものについて、改めて加筆修正を施して、順を追って公表していくつもりです。

このタイトルが意味しているのは、どのような通説も、その発表当時は、異端者のささやかな試みから始まり、その当時の通説への異議申し立てであったこと、従って、研究の発展自体が、このような異端の試みの積み重ねとして実現されていることを表現しています。みなさんにも是非、そうした異端者の心意気や意図をくみ取って、そのあとを追っていただくことを期待しています。

●略歴

武田晴人
1949年4月東京に生まれる。1979年3月東京大学経済学研究科博士課程単位取得退学。1979年4月東京大学社会科学研究所助手、1981年4月東京大学経済学部助教授、1991年6月同教授(2015年3月まで)。専攻は日本経済史。

<関連書籍のご案内>

異端の試み 日本経済史研究を読み解く
著者:武田晴人、定価:本体6500円+税
ISBN:978-4-8188-2475-1
判型:A5判、頁:564頁
刊行:2017年10月
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第1回帝国主義の経済構造について(1)*

テーマは、1980年前後に日本経済史研究でさまざまな議論が展開した「帝国主義」についてです。…

第2回帝国主義の経済構造について(2)

第1回の帝国主義経済構造の講義を受けて、以下のような質疑応答が続きました。…

第17回近代編4 産業革命研究の到達点―大石嘉一郎編『日本産業革命の研究』をめぐって

第27回番外編1 『日本産銅業史』の先に見えてきたもの

-私的研究史の方法的な回顧-

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