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HOME > e-コンテンツ > Cengage Learning(アーカイブ) > The Making of the Modern World, Part II: 1851-1914 (MOMW-II)

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■ 近代人文学の流れを包括的に捉える

上智大学文学部英文学科教授 小林章夫

 主に1450年から1914年までの社会科学系学術図書、及び17世紀末から19世紀半ばまでの定期刊行物から成る膨大なデータベースである。その意味で、『近代世界の成立』というタイトルは決して誇張ではない。近代世界をリードしたのがヨーロッパ世界だとすれば、そこに至る過程をつぶさに跡づけるには、このデータベースは計り知れないほど貴重な資料を提示してくれると言えるだろう。これまでは現物を見るために多大の苦労を要した一級文献、あるいはせいぜいマイクロフィルムを利用するしかなかったものが、このデータベースによって実に簡単に手に入り、しかも多岐にわたる検索が容易になるのである。しかも収録されている文献は、もちろん英語文献が多いけれども、独仏、そのほかオランダ語、イタリア語など多様な範囲に及んでいる。
 もちろんこのデータベースに収録されているのは、学問の分類で言えば「社会科学系」に属する文献である。けれども、この社会科学なる学問分野が成立するのも19世紀、近代社会においてだとすれば、それ以前の時代に出版されたものは、むしろ広い意味での「人文学」に属する書物、あるいは定期刊行物だったと言わなければなるまい。筆者のように主に18世紀イギリス文学を勉強する人間にとっては、ジョン・ロック、デイヴィッド・ヒューム、あるいはアダム・スミスの著作は、決して無縁の世界とは言えないのである。
 また近代社会が成立した19世紀以降にあっても、たとえばチャールズ・ディケンズの小説世界は、同時代の政治、経済、社会史などと切り離して考えることは難しいのである。さらにこのデータベースがカバーする19世紀末から20世紀初頭の時代においては、女性史との関連を抜きにしては、ヴァージニア・ウルフの世界を十分に理解することは難しいと言えるかも知れない。
 このように考えてくると、社会科学という範疇を超えて、人文学全般を視野に入れて近代社会の成立を捉えようとするには、このデータベースがまことに有用な一級資料を提供してくれるものだと考えるべきではないか。そしてこれを通じて、斬新な研究が世に出ることになれば、本データベースの有用度は計り知れないと言わなければなるまい。

 

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