3. 自然史博物館の内部について

構成館員

自然史博物館には約800名の館員がおり、そのうち約300名は裏の化学部門や図書館で働いています。他の館員は管理部門、表方担当、財産部門、マーケティング部門などで働いています。昔は長い間、男子のみが採用され、館員の採用は学閥によるつながりか、個人的な推薦によるものでした。当時は大変格式張った堅苦しい職場だったようで、館員の大半が収蔵品の整理や科学研究に携わっていました。

収蔵品

博物館グールド/鳥類図譜の評価は収蔵品によって決まります。公開されている収蔵品は全体のわずか1パーセントで、植物学・昆虫学・鉱物学・古生物学・動物学部門で合わせて何と7000万点の標本が収蔵されています。その一部は18世紀のハンス・スローン旧蔵のものです。収蔵品は19世紀から20世紀初頭にかけてもっとも大規模に増えました。これらの収蔵品は博物館で行われる研究活動の重要な材料となっています。例えば、1835年にガラパゴス島でチャールズ・ダーウィンが採取した鳥類標本を、ロンドンで著名な鳥類学者のジョン・グールドが識別し、嘴の形状がそれぞれ異なる食物を摂取しやすいようにできていることに気づきました。見かけは互いに異なりますが、同じ科に属する近い種ということです。ダーウィンは1859年の『種の起源』において、この嘴の形状の違いを、進化の仕組みを表す一例として用いました。

収蔵品の識別と保存

収蔵品収蔵品は、科学研究員により識別・分類され、貯蔵庫に整理されます。新たな標本が収集された場合、識別して必ず記録されねばなりません。各標本には識別番号が付けられ、この番号は採取場所・年月日・採取者を記録したリストの番号と対応しています。これらすべての記録がなされて、初めて標本をしまうことができます。今の科学者は標本を収集することに対してとても慎重なので、特定の生物群について同定し、分類できるまで何年も要する場合もあります。
博物館はこれまで収蔵品の目録を刊行してきました。しかし現在ではインターネットでの目録データベース公開が進んでいますので、書籍でのカタログは減少の傾向にあります。

こうした自然史博物館の分類技術は60ヶ国以上の研究者との共同研究で活かされています。博物館の研究者は豊富な情報を利用して、農学研究や医学研究のための動植物種の正確な識別を行います。現在では他の研究機関や研究者との資料の共有と研究上の協力が重要視されているため、他の研究者による利用を可能にし、将来も研究に使用できるように保存されていることを確かめるのも研究員の大切な仕事のひとつです。


1. 自然史博物館の歴史について
2. 人気のある展示会場・イベントについて
3. 自然史博物館の内部について
4. 自然史博物館の活動と未来