校正者について | 英文校正サービス
英文校正者インタビュー
W氏 【専門】20世紀ドイツ・フランスの散文小説、西ヨーロッパ研究など
アメリカ出身。1989年にインディアナ大学(Indiana University Bloomington)にて比較文学の分野で博士号を取得。20世紀のドイツやフランスの散文小説、西ヨーロッパの研究を専門とする。インディアナ大学にて、英語や言語学の分野で教鞭を執る傍ら、自身も多数の著書を出版。また豊富な校正経験を生かし、数多くの書籍の出版に貢献している。
- 日頃から論文執筆や英文添削に関する本を読んでいます。またネット上で他の校正者と意見交換・情報共有を行うよう日々努めています。
- 自身で決めたルールに則って校正作業を行いますが、著者の独特の語り口はできる限り生かすようにしています。これまでの英語校正経験から学んだことですが、国は違えど、非英語圏からの論文には共通する多くの『癖』が存在するように思います。ただ、そういったものを十分に理解していれば、的確に著者の真意を掴むことができ、よりスムーズな校正ができるというのが私の考えです。
- 書き手と校正者は、一種の共同体だと思います。校正者は執筆者を正しい方向に導く、言わば「ファシリテーター」の役割を担っているのではないでしょうか。「校正者は魔法の杖を使って、完璧な原稿に仕上げてくれる!」と期待される方も多くいらっしゃいますが、最終原稿の質を決定するのはまぎれもなく、著者の執筆過程なのです。その点は執筆する皆様にもご理解いただけますと幸いです。
- 私の専門分野関連で挙げるとすれば、『College English』と『College Composition and Communication』のふたつでしょうか。どちらも最新の研究を紹介していますので、一度お読みいただくことをお勧めいたします。
- これらのジャーナルはどれも非常に高水準です。研究そのものの独創性のみならず、著者が専門領域独自のルール従って議論を展開できているか、という点も基準のひとつになっています。また、研究者は論文の内容、構造、言葉の選択、参考文献に至るまで、論文の構成要素すべてについて詳細に把握していなければなりません。ジャーナル側としては、著者は専門領域の議論の提示、立証の仕方について精通していると想定しています。これらジャーナルの基準に合わない場合、すぐにリジェクトされてしまうでしょう。
- 以前、ヨーロッパのとある学術出版社から本を出した経験があるのですが、その道のりはとても長く険しいものでした。何年もの歳月を執筆活動に費やし、修正に修正を重ねたうえでようやく原稿を完成させることができたのです。その甲斐あってか、出版社から論文の中身に対する批判的な意見は一切出ませんでした。
今日では出版に際して、ほとんどの出版社がフォーマッティングを必須としています。皆さんご存知のように、フォーマッティングは非常に骨の折れる作業で、大変な労力と時間を要します。私もフォーマット調整をする時は、引用・参考箇所のすべてが正確であるかを最低2回はチェックするようにしています。丸善雄松堂のようにフォーマッティングも含めて校正作業をしてくれるところを有効に活用されることをお勧めいたします。 - 文単位の英語表現だけではなく、論文全体のコンセプトや構造にも注意してください。そして、ご自身の専門分野では、通常どのように議論が構成され、立証されているのかをよく研究してみてください。あとは、論文作法に関するいろいろな書物に目を通すのもいいかもしれませんね。