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学術論文のジャーナルへの投稿・掲載にかかわる費用

学術論文のジャーナルへの投稿や掲載に際して、著者が手数料を支払わなければならない場合があります。手数料の種類や料金の体系はジャーナルごとに異なりますが、紙媒体とオンライン、購読型とオープンアクセスなどの区分により手数料の項目が変わってくることもあります。

今回はそんな、手数料の種類についてご紹介していきます。


投稿費(Submission Charge)

購読型、オープンアクセスのいずれにおいても、論文の投稿自体は無料のケースが主流ですが事務手数料を取るジャーナルも存在します。例えば、The Journal of Neuroscienceの場合は140ドルで、ほとんどの場合は50ドルから150ドル程度です。著者からするとリジェクトのリスクがあるのに手数料を取られるとなると投稿のハードルが高くなりますが、ジャーナル側からすると、査読する論文を厳選することで、作業負担の軽減やインパクトの向上にもつなげられる、というメリットがあるでしょう。


ページ、カラーの図表に対する課金(Page Charge、Color Charge)

紙媒体の学術誌の場合、通常、掲載料は発生しませんが、規定のページ数を超えたページ数やカラーの図表に関して図表ごとに料金を課す場合があります。(これを受け、オンラインのジャーナルでもカラーの図表について追加料金を課すジャーナルも存在しましたが、オンラインでは白黒・カラーの掲載コストに差がないため現在ではほとんどなくなっているようです。)例えば、The Seismological Society of Americaの学会誌各誌は、Color Chargeとしてカラーの図表1点あたり250ドル、International Society of Computational BiologyのBioinformaticsは350ポンド/600ドルを課金(それぞれオンラインのみの場合は無料) しています。また、規定を超過したページ数に対して課金するジャーナルも存在します。


APC(投稿手数料)

伝統的なジャーナルの多くは定期購読者の支払う購読料や学会の会費で成立しているため著者の側での支払いの必要はありませんでしたが、オンラインで誰もが閲覧できるオープンアクセス・ジャーナルの場合、読者からの収入がありません。そのため、著者に掲載料(APC=Article Processing Charge=掲載手数料、論文処理料などともいわれます)を課金して成り立つジャーナルも少なからず存在します。もちろんすべてのオープンアクセス・ジャーナルへついて掲載料が発生するわけではなく、研究機関や学会が費用を負担することで、著者、読者ともに金銭的な負担がないケースもあります。
次にオープンアクセス・ジャーナルにはどのような種類があるのでしょうかを紹介します。


オープンアクセス・ジャーナルの種類

→ 完全なオープンアクセス

ジャーナルのすべての論文が無料で公開されているものです。最近創刊されたものではこのタイプが多くなっています。

→ オープンアクセスオプション(ハイブリッド・オープンアクセス)

ジャーナルの論文の多くが有料購読者のみアクセスできるものの、著者がオプションとして申し込めばオープンアクセスにできるものです。通常、オープンにするためにはオプション手数料の支払いが求められます。

→ ディレイド・オープンアクセス

一定の猶予期間(Embargo Periodエンバーゴ)を経て無料公開されるもので、数カ月から2年程度が一般的です。ジャーナルによっては、猶予期間を待たず即時公開することをオプションとして選択する場合に通常の掲載料に加えた追加手数料を徴収するものもあります。


オープンアクセス・ジャーナルの掲載手数料

オープンアクセス・ジャーナルの掲載手数料は、ジャーナルによってまちまちです。一般的にインパクトの高いジャーナルほど高額になる傾向がみられるとされますが、例えば、Elsevierでは掲載手数料に関するポリシーとして、ジャーナルの質、編集工程、他誌の価格、市場の状況、ジャーナルが手数料以外から得ている収入などを鑑みてそれぞれに決めるとし、実際に数百ドルから5900ドル程度の幅で設定されています。(Cellの5900ドルが最高額。参考:https://www.elsevier.com/about/policies/pricing ) Wiley、Springerなどでもそれぞれの刊行する雑誌の掲載手数料のリストが見られます。 掲載手数料については、必ずしもすべての著者に一律で同じ金額が課せられるわけではなく、発展途上国の研究者が発表する論文については手数料を無料にしたり減額したりする 出版社もあります。
(参考: https://authorservices.wiley.com/open-research/open-access/for-authors/waivers-and-discounts.html

このようにジャーナル自体が論文へのアクセスをオープン化している論文出版をゴールド・オープンアクセスと呼ぶのに対し、著者自身がジャーナルに掲載された論文をオープンアクセスのリポジトリ(arXiv等)にアーカイブするグリーン・オープンアクセスと呼ばれる方法もあります。ジャーナルの側では、購読者にのみに閲覧を許可しているわけですから、著者が外部で同じ論文を公開できるかはジャーナルの規定によります。


捕食ジャーナル(Predatory Journal、ハゲタカジャーナル)

オープンアクセス化の流れ、つまり掲載費用を読者から取るのではなく著者から取るようになるシフトの中で、十分な査読を行わずに論文を掲載し掲載料を著者から徴収する捕食ジャーナル(Predatory Journal、ハゲタカジャーナルと訳されることも)の出現が問題になっています。このようなジャーナルへの掲載費は、格の高いジャーナルへの掲載手数料と違い、払ってしまえばむしろ研究者としてのキャリアに傷をつけてしまう恐れさえあります。代表的なデータベースに登録された雑誌であるか、査読の方法を明白に公表しているかなど客観的な指標に照らし合わせつつ、不備も指摘されていますが、Cabell's Internationalの捕食ジャーナルリスト(有料)なども参考に、そうした危険を回避したいものです。投稿先の候補を選定してくれるジャーナル選択サービスを利用するのもオススメです

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