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論文を書く際、意図せぬ剽窃をさけるには

論文の不正が原因で研究者が職を失ったり社会的制裁を受けたりするといった報道を目にすることも最近では少なくありません。論文掲載数を上げるための、意図的なデータ改ざんや他人の論文の盗用などが行われるケースがある一方で、論文を執筆した本人が意図しないところで剽窃を指摘され、ジャーナルへの掲載を拒否されるようなケースも増えています。まずは、剽窃や盗用を含む論文の倫理上の問題について押さえてみましょう。


剽窃・論文不正の種類

故意の不正

他人の論文を自分のものとして発表したり、他人の論文の実験結果を自分が行った実験であるかのように論文に組み入れたりすることは、発表済みのものであれ、未発表の原稿であれ明らかな盗用です。発表済みの場合には、事後的に不正をみつけられますが、未発表の場合には不正を見極めるのは困難です。査読者となった研究者が査読した論文の内容を自分の論文に盗用するなど、二重の意味で研究倫理に背反する行為は明らかに故意の不正といえるでしょう。また、共著者リストに、実際には研究や論文への貢献がない知人を入れたり、逆に研究に貢献した研究者を同意なしに共著者から除外したりすることもデータ改ざんや、盗用などと同様、虚偽の記述とみなされます。

意図せぬ不正、不注意による不正

引用や、言い換え、要約をした際には、出典を明記したり正しい引用符を用いたりする必要があります。とくに英語がネイティブでない研究者が別の英語論文を引いて自分たちの論を展開する際に、英語で別の表現に言い換えができず、結果的に引用符を付けずにもとの言葉をそのまま使ってしまうといったケースや、単純に出典の記載が漏れてしまうというケースも考えられます。

自己剽窃

学術ジャーナルでは論文の二重投稿は厳しく禁じられています。自分が過去に発表した論文と重複する内容を、出典を明記せずに別の論文で使いまわすのは二重投稿や自己剽窃ともみなされます。自分の論文だから良いと思ってしまいそうですが、ジャーナルや読者からすれば、論文の独自性・新規性は非常に重要なのです。


意図しない盗用・剽窃を避ける方法

意図的な不正に関しては、自然科学系に多くみられるデータ改ざんや、人文・社会学系の分野でみられる剽窃・盗用など、発生の背景を考慮した対策を学術界で講じる必要があるでしょう。ひとりひとりの研究者が注意しなければならないのは意図しない盗用・剽窃、不注意により研究不正と判断されてしまうことです。では、そうしたリスクを避けるにはどのようにすればよいでしょうか。

剽窃・盗用について知る

まずは、何が剽窃・盗用にあたるかをしっかりと把握することです。自分の過去の論文への言及や引用・参照に関するルールなど、線引きが分からなければ、知らず知らずのうちに、剽窃にあたることを行ってしまうかもしれません。

自分のものでない発想・案などについては出典を明記する

他の論文から引いた言葉だけでなく、発想アイデアなどについてもその出典を明記しなければなりません。図表などを新たに自分で描きなおした場合も、参照したものがあれば同様です。

文献の引用には直接引用と関節引用があります。

直接引用 →   引用符やインデントを用いて、原文と一字一句そのまま入力。
関節引用 →   自分なりの言い回しで原著者の述べている内容をまとめる「パラフレーズ/Paraphrasing」、自分の言葉で重要なポイントをまとめる「要約/Summarizing」

あまりに直接引用が多いと論文自体の独自性が問われてしまいます。また、パラフレーズした文章が原文と似通っていても剽窃と取られるため、文章の構造自体を変えるなど自分なりの表現にする必要があります。パラフレーズした文章の中に引用符付きで直接引用を組み入れるのもよしとされます。

APA, MLA, Chicagoなど研究分野に応じた論文スタイルをとり、参考文献の表記法に関してはその形式に則って表記します。参考文献のリストにコピー&ペーストが可能な文献データを生成してくれるオンラインサイトもあり、使用すれば執筆を効率化できるでしょう。

剽窃チェックのツール、サービスを利用する

研究論文やインターネットサイトとの文章の類似度をチェックするツール(Plagiarism Checker)を利用することで、自分の論文と類似した表現がすでに発表された論文に存在しないかをチェックするのも大切です。ジャーナルの側でも同様の方法で投稿された論文をスクリーニングするため、ジャーナルから剽窃の疑いをかけられないためにも剽窃チェックは重要です。翻訳校正会社にも剽窃をチェックしてくれるサービスがあるため、そうしたサービスを利用するのもよいでしょう。


剽窃・盗用などは意図しないものだとしても、キャリアに傷をつけたり、無駄な作業を増やしたりしてしまいます。サービスやツールも利用して入念にチェックをした上でジャーナルへ、論文を投稿したいものです。

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某私立大学 H.S.様