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論文のカバーレターの書き方

論文におけるカバーレターとは

論文をジャーナルに投稿する際に、最後に行うことがカバーレターの作成です。カバーレターはエディターがまず目を通すものであり、特に英文ジャーナルの場合、その内容や印象次第で論文が査読者に回される可能性も変わります。

一流のジャーナルともなれば、エディターの元に送られてくる論文は少なくありません。その為、研究でもたらされた重要な成果を記述するとともに、その論文がジャーナルの趣旨や方向性に合致していること、そしてジャーナルの読者たちの興味の対象となることを簡潔に説明する必要があります。それをしっかりと伝えることで、送った論文を査読のステップに進めてもらうのがカバーレターの目的です。

ジャーナルによっては、カバーレターの項目や書式を規定しているものもあります。著作権ポリシーへの承諾や、研究をめぐる利害関係の情報開示、査読者の候補や査読者からの除外を望む対象とその理由など、ジャーナルが要求する項目を遺漏なく記入することがカバーレターには求められます。


カバーレターの形式と分量

論文をオンラインで投稿する場合でもWordなどのファイル形式で送る場合と、ジャーナルのオンライン投稿画面に直接入力する場合があります。分量は、シングルスペースで記入して1ページに収まるのが理想です。要点を簡潔にまとめて1枚、多くても2枚目の半分までに収めるのが良いとされています。


カバーレターに記入する内容と全体の構成

カバーレターには、一般的に以下のような内容を記入します。

-宛名

投稿する日付、および投稿先ジャーナルの雑誌名と編集長の名前を上部に記入します。

-敬辞

Dear Dr.~等、編集長あてのカバーレターの体裁で書き始めます。

-送付内容についての情報

送付する論文のジャーナルへの掲載を希望する旨を伝えます。この中で、論文タイト ル、論文のカテゴリや種類(原著論文/レビュー論文などの区分)、そして再投稿の 場合、原稿ナンバーを間違いのないように記入します。

-主な成果とその文献的意義の要約

研究の背景と研究テーマ、使用した研究手法などに触れつつ、同じ分野の従来の研究 結果と比較して、自分たちの研究で新たに何が明らかになったかを伝えます。これに より、論文がその雑誌に掲載するに値するものであるというアピールになります。

-他誌での掲載実績や掲載可能性の否定/共同研究者の同意

その論文の他ジャーナルでの過去の掲載実績や、現在の掲載審査がないことを明言し ます。また、すべての共著者・共同研究者が論文の投稿に同意しているということも 明らかにします。権利関係についてのトラブルの可能性がないこと、つまり掲載に関 してリスクがないことをジャーナルに示してあげることが大切です。この他、研究倫 理の順守、利害関係の衝突がないこと、投稿条件への同意、著作権に関する声明など 、ジャーナルが要求する文言も同様に記します。

-結びのあいさつ

文末には、結びのあいさつとともに、代表著者の氏名、所属、連絡先(電話番号/Fax 番号、メールアドレス)を記入します。代表者の所属や連絡先について、ヘッダーと してレターの上部に記入している場合は、あいさつの後は氏名のみで問題ありません。

ジャーナルの種類や研究内容によっては、その他の情報を盛り込むことで自分たちの 立ち位置をより明確にエディターに示せる場合もあります。

-希望する査読者の候補とその理由

多くのジャーナルが、論文執筆者自身からの査読者の推薦を受け付けています。また 、自分たちの研究の査読者としてふさわしくないと判断する研究者がいる場合は理由 も含めて明記しましょう。そうした研究者がいない場合には、特に挙げる必要はあり ません。細かい専門性に基づいてなされた研究であれば、その論文を評価するのに必 要とされる専門知識についても触れておきます。

-類似研究・掲載実績

当該ジャーナルに記載されたことのあるもののうち自分たちの研究と似ている論文の リストや、自分や共著者の過去の出版実績・現在の審査状況などをカバーレターに含 めると、自分たちがどのような研究者であるのかを、より具体的にイメージしてもら えるでしょう。また、投稿以前に学会そのほかで、当該ジャーナルのエディターと議 論したことがある場合は、その内容について言及します。

英語論文のカバーレターの場合、インターネット上でサンプルやひな型が数多く公開 されています。そうしたフォーマットに自分たちの情報と論文の情報を流し込むこと で、ある程度は形の整ったものにできますが、英語でのライティングに自信がない場 合、その上で英語ネイティブにチェックやリライト校正をしてもらうのが良いでしょ う。

論文本文からかけ離れた記述はいけませんが、カバーレターでは、要旨などに比べ、 研究の新規性などをしっかりとPRできます。すぐれた成果を埋もれさせないためにも 、研究の要点を踏まえつつ、その重要性がエディターに伝わる魅力的なレターを作成 しましょう。

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