ホーム > お役立ち情報 > 翻訳・校正会社の賢い使い方:複数の翻訳者が関わる翻訳依頼の留意点

翻訳・校正会社の賢い使い方:複数の翻訳者が関わる翻訳依頼の留意点

翻訳者と文体

翻訳に不正解はあっても、唯一の正解というものはありません。同じ内容を言い表す複数の選択肢の中から、翻訳者それぞれが適切と思われる表現を選んでいくため、同じ文章でも翻訳者が10人いれば訳し方は10通りになるはずです。翻訳でなく一つの言語で一から作文をする場合と同様なのです。

ですから通常は一つの文書に関して、翻訳は1人の翻訳者が担当します。しかし、翻訳者1人が1日に処理できる分量は、文書の種類やジャンルにもよりますが、英文の場合1000語から3000語程度と言われ、納期が短くかつボリュームが大きいプロジェクトの場合、複数の翻訳者が同時に作業を進めなければ間に合わない場合があります。そのような場合、発注する側としてはどのようなことに留意しておくべきでしょうか。

まず覚悟しておかなければならないのは、複数の翻訳者に原稿を分割した場合、各作業者に対訳リストを渡したり、表記ルールを定めたりして気を配ったとしても、最終的な原稿の整合性や統一感は完璧にはならない、ということです。担当した翻訳者ごとに「ばらばらの仕上がりになる」と思っておいた方がよいでしょう。完全にひとりの翻訳者が全編を通して作業したかのような統一感のある仕上がりを期待するのであれば、各翻訳者の原稿をまとめたあと、さらに別の作業者によってリライトをする必要があるのです。

CATツール(翻訳支援ツール)を使った作業

ほとんどの翻訳会社の場合、CATツール(翻訳支援ツール)と呼ばれるツールを使用していますが、これを利用することにより訳漏れの防止や、頻出する語句の保存・蓄積、そしてその訳語の統一が可能になります。頻出語句の訳語の一貫性は翻訳者が一人の場合も複数の場合も保てるため、複数の翻訳者が一つのプロジェクトに関わる場合はCATツールがほぼ必須となります。

しかしここで留意しておきたいのは、自動的に抽出されるのがキーワード、キーフレーズに留まるということです。この語についてはこの訳語を使用する、という指定がある場合には、あらかじめ対訳リストを提出しておかなければ、CATツールを使った翻訳でも、文脈などによって異なる訳語に訳し分けられる可能性があるのです。

参照:「翻訳・校正会社の賢い使い方:対訳リストを提出する


文体やトーンに関する留意点

また、複数の翻訳者で訳語を共有できるといっても、それはあくまで単語やフレーズレベルでの統一です。文体に関して、発注時の説明で細かい指定を行うことにより、ある程度は方向性の統一を図れますが、それでも翻訳者ひとりひとりで言葉の組み立ては異なります。ですから分担作業で仕上がった翻訳に関して、短期間で正確に仕上げようとすれば、全体のトーンに関してはある程度幅ができることを想定しておきましょう。 もし、最初から最後まで一人の人間が書いたような訳文に仕上げるには、そこからさらにターゲット言語のライターに全文をリライトしてもらうという時間やコストを勘定に入れておく必要があるのです。

参照:「翻訳・校正会社の賢い使い方:翻訳の文体についてのすり合わせをする

会員登録等のKnowkedge Workerご利用に関するお問合せはこちら

03-6367-6096Knowledge Workerお問合せフォーム

    • ご利用のプロセス
    • よくあるご質問
    • お支払方法について
    • お取引先リスト
    • 文書の実績
    • お客様の声
    • ニュース&トピックス
    • お役立ち情報

お客さまの声

英文校正・論文翻訳

校正では単語や冠詞の適切な選択だけでなく,論文全体の流れも含めてチェックして頂き,ありがとうございました。詳細なコメントも記載されており,大変参考になりました。再校正のアフターサービスも利用させて頂きたいと思います。
某私立大学 H.S.様