翻訳・校正会社の賢い使い方:トライアル翻訳を依頼する
自分にあった翻訳会社を選ぶには
初めて翻訳を外部の翻訳会社に依頼する際には、翻訳会社と翻訳者のスキルや業務への取り組み方が気になります。参考になるのは過去の実績や翻訳のサンプルです。
- 実績等を見る
まず、過去の実績が見られる場合があります。例えば、その会社が請け負った翻訳が書籍として刊行されている、一般に配布されている、インターネット上で公開されているなどの場合は、仕上がりそのものを参照できます。すべての案件に書籍翻訳の担当者が関わることは期待できなくても、その会社の持つノウハウのレベルは分かります。また、ユーザーレビュー的なものを自社サイトで公表している場合は、その翻訳会社の特徴や得意とするところがある程度イメージできます。自社に否定的なお客様の声をあえて掲載する会社はないでしょうから、サイト上のレビューが全てではありませんが、少なくともどのようなジャンルのフィードバックが多いのか、どのような仕事の点についての評価が高いのか等については把握できます。これらを参考に、翻訳を依頼する文書のジャンルや、翻訳に求めるものと相性の良い会社を選ぶのも一つの方法です。 - トライアル翻訳を依頼する
訳文の仕上がりを具体的に見てみたいという場合には、翻訳会社に部分的な翻訳を依頼し、自分たちの希望に見合うものを納品してくれるか判断するということもできます。テキストの専門性が高い場合には特に、トライアルで決めるのが確かでしょう。大手企業や一流の研究者が高い評価を下している翻訳会社でも、自分たちにとって最適かはわかりません。翻訳会社にも得意ジャンルがあるからです。
納品された翻訳の品質を判断するポイントは依頼主それぞれです。
例えば、
・原義をしっかりととらえられているか
・専門用語を正確に翻訳できているか
・ターゲットやジャンルの言葉遣いにできているか
・キーワード、キーフレーズを揺らぎなく翻訳できているか
など、翻訳に求めるものを総合的に鑑みて自分たちに合った会社を選ぶとよいでしょう。
翻訳会社によるトライアル翻訳とは
多くの翻訳会社は、初めての顧客に対し、お試しで文書の一部の翻訳を提供しています。無料の場合と有料の場合がありますが、無料の場合は日英、英日それぞれで数百字、数百語が一般的です。ボリュームが多くなると翻訳会社としても作業コストがかかりますし、逆に最初の1文か2文だけ試訳してくださいと言っても、それだけで判断されるトライアルに対して翻訳会社はあまり乗り気にはならないでしょう。公正に評価されない恐れのあるトライアルであっても、翻訳者やチェッカーの手配が必要になるからです。 トライアルで納品された訳文の仕上がりをみて正式に依頼するかを決めることになりますが、自分たちでその品質が分からない場合は、同じ分野を専門とするターゲット言語のネイティブに感想を聞く、別の翻訳者にバックトランスレーション(逆翻訳)してもらうなどで判断します。
トライアル翻訳の注意点
トライアル翻訳の品質と正式依頼した翻訳の品質に差がでるのではないかという心配があるかもしれません。トライアルの時点、本依頼の時点で、作業に当たる翻訳者の開示可能なプロフィールを尋ねたり、本依頼の時点でトライアル時と同じ翻訳者による作業を依頼したりするなどでリスクはある程度回避されるでしょう。
また、トライアルを経て本依頼するテキストの分量が極端に少ない場合などは翻訳会社にとってメリットがないため、全体のボリュームを伝えた上でトライアル依頼をするのもお互いに気持ちよく仕事をする秘訣です。