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学術論文のタイトルの付け方について

論文におけるタイトルとは

論文のタイトルは、論文の中で最も多くの人が目にする部分です。ジャーナルに投稿された時点では、エディターが一読して査読に回すか否か判断するための最初の材料になります。掲載されてからも、データベース上で検索に引っかかった論文はタイトルでふるいにかけられることになります。ジャーナルへの採択とその後の展開を考える上で、タイトルは、研究内容をしっかりと伝えるものであるか、読み手の興味を引くものであるか、論文本文の文体とあったものであるか、そして検索などにかかりやすい研究テーマのキーワードを含んでいるかなどを考えて付けなければなりません。


タイトルの種類

学問領域によって好まれるタイトルの形式やスタイルが決まっている場合があります。大別すると、タイトルが論文の結論までを示すもの、タイトルでは主題や研究手法のみを示して結論は示さないもの、疑問文の体裁をとるものに分かれます。

Declarative Title

タイトル部分で結論を示すものはDeclarative titleやInformative title、Assertive titleなどと呼ばれ、日本語では「内容的タイトル」「叙述的タイトル」などと訳されます。自然科学系のジャーナルでは1970年代以前にはほとんど使用されることがなく、現在でも学問領域やジャーナルによっては好まれない場合もありますが、反対にThe Journal of Clinical Epidemiologyなどが2000年代に入ってから積極的にDeclarative titleの論文を採用するようになっているように、そのメリットを認めるジャーナルも少なくありません。情報を明確に示し、より多くの読者を獲得できる論文タイトルが、著者とジャーナルの双方にとって望ましいからです 。(参考:https://academic.oup.com/qjmed/article/103/3/207/1589103

タイトルの例1)“Conspicuous Plumage Does Not Increase Predation Risk: A Continent-Wide Test Using Model Songbirds

Descriptive titles:

研究の主題、目的、手法などだけを提示し、結論部分には触れないタイトルはDescriptive title、Indicative title、Neutral titleなどと呼ばれ、日本語では「表示的タイトル」などと訳されます。結論が一言で言えない研究の場合はもちろん、タイトル部分での断定的な言辞を好まないジャーナルなどでは依然としてこちらのタイトルが主流です。

タイトルの例2)”Contrasting impacts of competition on ecological and social trait evolution in songbirds

Interrogative titles

上記2つのタイトルの形式に加え、少数派ではありますが疑問形のタイトルも存在     します。より多くの読者の気を引こうという戦略的なタイトルでもありますが、実際にその効果を得るにはそれなりの工夫が必要でしょう。

タイトルの例3)“Do songbirds attend to song categories when selecting breeding habitat? A case study with a wood warbler

論文のタイトルについての研究の論文も少なからず存在します。Nicola Di GirolamoとReint M. Reyndersが2016年に行った研究(https://www.jclinepi.com/article/S0895-4356(16)30853-8/abstract)では、オルトメトリクス(altmetrics)の上位に入った論文タイトルの文字数や単語の特徴、Declarativeであるかどうか等について調べられています。この中で、特にヘルスケア分野でオルトメトリクスのトップに入るようなレベルの論文においては、結論をシンプルに叙述するタイプのタイトルの論文が、より多く言及される傾向にあると結論付けられています。


タイトルの構成要素

タイトルをつける際に考慮しておきたいのは、冒頭に挙げた以下のような指標です。

研究の内容を示すという指標に関して言えば、タイトルに含めるべきは、「テーマ」、「手法」、「対象」などで、Declarative Titleの場合は「結果」がこれに加わります。論文タイトルは長すぎても読む気をなくさせますが、短すぎて具体性に乏しいタイトルではどのような研究なのか分かってもらえません。英語論文の場合、分野にも拠りますが、ワード数で5から20の間ぐらいが理想的と言われます。一つのフレーズや文で研究内容を的確に表せない場合には、コロンなどを使用し、サブタイトルを用いて研究手法や対象をうまくタイトル内に組み込むと良いでしょう(上記タイトルの種類の例1、および例3)。また、ターゲットとなる読者にとってすぐに研究の分野が分かるキーワードを盛り込むということも大切です。


ジャーナル、および研究領域の傾向

タイトルの種類や盛り込む内容、ワード数などに関して一般的なことを述べてきましたが、研究領域やジャーナルによってそれぞれ、タイトルの傾向は異なります。タイトルについて規定を設けるジャーナルもありますので、ガイドラインを読み込み適切なタイトル付けを行いましょう。規定がない場合でも、受理された論文のタイトルにジャーナルごとの傾向が見いだせる場合もありますので、直近の掲載論文のタイトルはぜひ参考にてください。

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某私立大学 H.S.様