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研究資金の調達手段

研究に必要な資金を確保する

実験器材や研究に関わる資料や消耗品の購入から、学会参加のための渡航まで、学術研究にはお金がかかります。研究者も、調達できる研究資金を考慮して研究の計画を立てなければいけません。ここでは研究に対する助成金についてまとめてみます。


科研費

日本における研究の助成金で、もっとも多くの研究者に関わるのが「科研費」です。これは、文部科学省およびその外郭団体「日本学術振興会」による「科学研究費助成事業」で、申請を受け審査を通過した学術研究に対して給付される学術研究助成基金助成金科学研究費補助金の略称です。日本学術振興会のサイトでは「科研費は、人文学、社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる『学術研究』(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする『競争的研究資金』で」あるとされています。ここで定義づけられている通り、特徴は、あらゆる分野の研究の若手からベテランの研究者に関わりのある研究資金であること、そして、研究テーマや手法を研究者自身が決められることです。競争的資金もしくは競争的研究資金とは、内閣府の第3期科学技術基本計画で「資源配分主体が広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金」と定義されています( https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/honbun.pdf )。このほかにも、省庁が給付する競争的研究経費は、内閣府のサイトで競争的資金制度一覧としてまとめられていますが( https://www8.cao.go.jp/cstp/compefund/kyoukin31_seido_ichiran.pdf )多くの資金制度は研究テーマも限定的です。

研究内容の自由度からすると魅力的な科研費ですが、その新規採択率は決して高くありません。一番高い若手研究でも40%前後、基盤研究では30%未満、それ以外の研究種目(特別推進研究/新学術領域研究)はさらに低い採択率になっています。

日本学術振興会の他にも公的機関では、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などもそれぞれに研究助成を行っており、各サイトの公募情報の欄に助成事業が掲載されます。


科研費以外の研究助成金

科研費や中央省庁以外に、公益財団法人による研究助成金も数多く存在します。多くが団体の設立趣旨に沿ったテーマの研究を奨励しているため、研究者は自分の研究領域に関連する団体の募集状況を把握しておくとよいでしょう。若手研究者の研究奨励に力を入れるなど、団体それぞれに助成対象の傾向もあります。民間団体の場合は、採択率が非常に低い(狭き門の)助成金や、単年の研究のみを対象とする助成金など、条件は様々です。インターネット上でも研究助成を行う団体をリストアップしているポータルサイトもあり、検索すればいくつもヒットしますのでブックマークして活用するとよいでしょう。代表的な「コラボリー/Grants」や「助成財団センター」などは、検索性も高く随時最新の募集状況が更新されています。


クラウドファンディング

最近では、研究資金をクラウドファンディングで募る方法も注目されています。先駆的なものでは、アメリカの「experiment」が2012年に、日本では「academist(アカデミスト)」が2014年に学術研究専門のクラウドファンディング・サイトとしてスタートし、支援金額の総額が目標金額に達した時点で、集まった資金の一部をサイト使用料として受け取るというビジネスモデルでサービスを行っています。ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授が、ファンディングサイト「JapanGiving」で高額な研究資金を集めたという例もありますが、クラウドファンディングで集める金額の目標値は科研費や各種の助成金に比べ、比較的少額に設定されることが一般的です。さらに、多くの人にとって分かりやすい(専門知識がなくても効果が見えやすい)研究や、魅力的なリターンを設定しやすいプロジェクトが支援を募りやすいということもあるため、クラウドファンディングが従来の助成金の代替となるものではないと考えるのがよいでしょう。またサイト上に掲載する文章や写真も広くアピールするものが求められますので、申請書の作成とは異なったアプローチが必要です。

いずれにしても、自分たちの研究デザインに合った資金の入手ルートを見逃さないための情報収集が、今後ますます重要になってくるでしょう。

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某私立大学 H.S.様