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翻訳・校正会社の賢い使い方:翻訳の文体について

文章のスタイルとは

一口に翻訳といっても、誰に読ませるものなのか、何の目的で、どのような媒体に載せられるものなのかによって仕上がりの語彙や文体は異なってきます。ですから、翻訳を依頼する際は、発注者と翻訳会社・翻訳者の間で、目指す仕上がりのイメージをできるだけ具体的に共有できていることが大切です。

日本語の場合でも「です・ます調」(敬体)と「だ・である調」(常体)、漢語と大和言葉とカタカナ語の割合、体言止めや反語などの表現の頻出度など、文章のトーンを決める指標は多様です。そして、こうした様々な指標と同じ指標が別の言語にそのまま存在するとは限らないため、文章のトーン自体を他の言語に移植することは容易ではありません。原文が「です・ます調」で書かれているから、英語でも同様のトーンになると期待しても、そもそも英語には「です・ます調」は存在しないのです。もとより、「です・ます調」で書かれていても丁寧な印象を与える文体もあれば慇懃無礼な印象を与える文体もあるため、機械的な移し替えは不可能です。また、例えば「厳かなトーン」、「ポップな調子」といった印象レベルでいうと、同じ言語を共有する人の間ですら想定する文章のスタイルはまちまちとなるでしょう。


翻訳者との目線合わせ

これらを踏まえると、翻訳会社に業務を発注する際には、翻訳する原文を渡すだけでも、主観的な形容だけで文書全体のトーンについての注文をするだけでも十分とは言えないでしょう。大雑把な発注では、初稿の仕上がり後に修正の指示出しのために多くの時間を費やさねばならなくなります。ですから、その想定される読者や媒体、翻訳によって何を目指すのかということについて事前に翻訳会社(翻訳者)に明確に伝えておくことが、結果的に発注者と翻訳者双方の時間や作業の無駄を軽減することにつながるのです。


地域と対象者

例えば、アメリカ英語なのかイギリス英語なのかによってスペルや語彙の選択肢が異なります。 特に、英語が第一言語でない国や地域での補助的な表示を目的とする場合や、ネイティブでない人々を読み手として想定する場合があり、そうした場合は平易な表現が望ましいでしょう。英語の非ネイティブ同志が意思を疎通するためのツールとしての英語「グロービッシュ」の1500語レベルに近い語彙で、慣用句や比喩表現を廃した翻訳を行うなどです。

また、翻訳のターゲット言語のネイティブのみを読み手として想定する場合でも、広く一般に向けられた文書では、文言はより日常語に近いものとなり、読者が専門家に限られるような学術的な文書や法律や契約に関する文書については、それぞれの分野の慣例に基づくスタイルや決まり文句、語彙が必要とされます 。


媒体と目的

さらに、どのような媒体に掲載されるか、何を目的としているかによっても文体は規定されます。ウェブサイトに載せられるもののうち広告文的な要素の強いものであれば大幅な意訳が望まれるでしょうし、特許翻訳や契約書の類であれば単語レベルでの訳漏れが係争の要因ともなりかねないため逐語的な翻訳が必要です。また、英語を多言語翻訳の底本とするなどの場合で、重訳で最終原稿の意味が大きく原語から外れるのを避けるために直訳が望ましいこともあります。


過去の翻訳等

関連する文書の過去の翻訳が存在し、それにスタイルを合わせたいなどの場合、その文書を資料として翻訳会社および翻訳者に参照してもらうことで、文体や語彙の参考になるでしょう。ただし、その資料からの対訳リスト(単語やフレーズの対応表)の作成については、翻訳とは別の作業になり多くの場合追加コストが掛かってしまいます。ですから、過去の翻訳や関連文書は、あくまで文体とトーンの参考資料としてもらい、訳語を指定したいキーワード、キーフレーズについての対訳リストは別途提出するのが良いでしょう

参照「翻訳・校正会社の賢い使い方:対訳リストを提出する

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某私立大学 H.S.様